Battle Age
校内のギターバトルを制した俺は物足りなくなって、うまいベースを探していただけなんだが、友人を辿って調べるうちに結果的に他校の文化祭に乗り込んでいって他校のステージ・スケジュールに無理やりセッションタイムを作らせてジャムセッションしまくり、実質殴りこみをかけていた。超高校生級のベーシストを求めてEの一発とかFGAとかVIm7ーII9なんかで延々とソロバトルをやった。負けそうになると歯で弾く奴とか、ギター投げる奴とか、アーム折れたりとか転がる奴とかいて、死屍累々だった。「ナインスって何なんすか?」っていう奴ら相手に必殺ムリムリ弦飛び速弾きをかまして俺はつぶやく。「時間が止まって聞こえる」今だとあれだ、MATRIXの弾除け背泳ぎ的な感覚だったかもしんない。

以上主観的にはこの通りだったのだが、今録音を聞くと、まごうことなき黒歴史であり、痛くて痛くて劇物である。寒いっ!チム! み、、、みんなも経験あるよねっ!(;´д`)

High-School festival in adolescence.
高校は男子校だった。したがって男子の巣窟は暑苦しく臭く、殺伐としていた。受験勉強の合間のはずなのだが文化祭シーズンになると、予備校でナンパした女子校生から芋づる式に入場券を入手し売りさばいたり、何らかの貸しを返したりする輩が横行する。逆に自校の文化祭チケットを人気女子校の可愛い娘に渡すために、兄弟姉妹親類縁者先輩後輩地元つながりなどあらゆるリサーチを行った。いわゆるBe-POPな奴もたくさんいて、リーゼントを維持するのにほんっとうに努力してた。禿乙!方や、普段絶対着ないようなトレンチコートやサングラス、FILAのジャケットなんかを調達しておかしなカッコで女子校の校門に佇む奴とか本当に可笑しくて内蔵飛び出るかと思ったわ。

3年の文化祭後夜祭メインステージのトリ。オリジナルナンバーオンリーで望んだ俺達のバンド名はSad & Solitary TART (S.S.TART)悲独売春婦てなとこだが、前述のしらけムードはまだ続いていて、社会の中に暮らしながら社会に疑問を持ち、一切の法やモラルは他人が作ったもので、なぜそれを守らなければならないのか? ~中略~ 諸々あって、最終的には「自由とは何か?」というテーマで堂々巡りをしていたために、なんとなく無気力で荒んだ退廃的そのものムードだったわけで、ROCKとかプログレやるには最適だったのではないかと思う。S.S.TARTには館野はいなかった。なぜなら奴はガリ勉していたからだ。代わりにライバルバンドのストラト浮浪者佐藤を巻き込み、ボーカルもゲストで巻き込み、風貌はよっちゃんだがめちゃめちゃ上手くなった風間ドラム、後輩のデブもぐらベースというベストメンバーで望んだ。

PA屋は予算が出たらしく、プロを雇ったらしい。ニヤリと笑いながら適当にリバーブやフランジャーをかけてくる。まぁ、ツインリードギターの音量調節はうまくやってくれたので良しとするが。

夏の夕暮れで、空は群青色。僅かな筋雲に夕焼けと新宿の明かりが反射し赤く輝いている。文化祭が終わった後夜祭の野外ステージはグラウンドに500人ぐらいの人がいて、ちょっとした照明まで付いている。今思えば周りは結構な住宅街で、よく許可が降りたと思う。てか多分許可とってないんだろう。。。

3年ともなるとテンポも走ったりせず、余裕の表情で観客の女子を観察したりしながら演奏できるのである。~中略~怒涛のステージ終了後、うちわを持った数人の女子高生が駆け寄ってきて、、、~中略~ あの制服はどこどこだなとか、もう帰っちゃったーとか、連絡先聞けたとかゴニョゴニョ渦巻く酸っぱ臭い青春の情念にまみれながら俺たちは二度と来ない高3の夜を駆け抜けたのだった。。。。。ムフ

終わり